VOLVO…買収からの大躍進!!

 VOLVO Car Corporation(ボルボ カー コーポレーション)。

ボルボ カー コーポレーション(以下、ボルボカーズという)は、乗用車を製造販売している会社です。

代表的なものとして、ボルボXC90やV40、古いものだと740シリーズなどがあります。

 

そんな同社ですが、近年、右肩上がりの成績を収めています。

2015年12月期の売上高は1640億SEK(約1兆9002億円)で、営業利益は66億SEK(約765億円)です。

2016年12月期の売上高は1806億7200万SEK(約2兆2835億円)、営業利益は、110億1400万SEK(約1392億円)でした。

売上高は前年比10.1%増となり、営業利益の前年比はなんと66.4%増という大きな成長を果しています。

 

このように同社は好成績を収めていますが、2010年に買収されていたのです。

それから、6年で復活といっていいほどの成長を遂げました。

 

では、どのようにして復活したのでしょう?

そして、これからどう進んでいくのでしょうか?

 

買収、そして、復活

 

  売られ、売られて…

 

ボルボカーズは、もともと、トラックや建設機械で有名なボルボグループの一つの部門でした。

しかし、1999年ボルボグループはボルボカーズをアメリカのフォード・モーターに売却しました。

そして、2008年。

アメリカのリーマンブラザーズの経営破綻に端を発した世界的金融危機の影響を受け、フォードは経営難に陥りました。

その際、フォードはボルボカーズを中国の浙江吉利控股集団(ジーリー・ホールディング。以下、ジーリーという)に売却したのです。

 

この時、「中国の軍門に下っても未来はない」という噂が広がっていました。

その噂を2016年12月期の売上高1806億7200万SEK(約2兆2835億円)という数字を叩き出すことで、同社は拭い去ったのです。

 

  自由+独立=復活

 

ジーリーの傘下に入ったボルボカーズですが、フォード時代とは大きく変わりました。

それは、経営の自由度です。

フォードの時には一部門という扱いで、ボルボカーズのサムエルソンCEOは「フォードから様々な指示を受けました(が、今の)経営の自由度は非常に高い」。

続けて、「マネジメントの決定権は我々にあります」とフォードとジーリーとの違いを話します。

 

さらに、ジーリーはボルボというブランドを大切にしています

ジーリー傘下の吉利汽車とは完全に別ブランドとして扱い、プレミアムなブランドとして位置づけられています。

 

この自由と独立性を背景に、ボルボカーズは大きく躍進することになります。

 

そこで、ボルボカーズは自社が進む道を選択し、ジーリー・中国開発銀行からの潤沢な投資資金を集中させたのです。

その道とは「コネクティビティー(接続性)」、「PHV(プラグインハイブリッド車)」、「EV(電気自動車)」、「自動運転」という4つです。

 

それに加え、ボルボカーズの独自性を示すことで他メーカーとの違いを際立たせたのです。

その独自性というのは、顧客と顧客の大切なものを守る安全性使いやすいインターフェース、シンプルでありながらも洗練されたスカンジナビアデザインです。

 

さらに、グローバル化も行いました。

ボルボカーズのホームとも呼べる本拠地がヨーロッパ、アメリカ、中国にあります。

それらを拠点に、市場を広げたのです。

さらなる拡大のため、アメリカのサウスカロライナにも現在、新工場を建設中です(2016年11月14日時点)。

 

これらをよく表すのが、潤沢な資金を投入して新工場の建設とプラットフォーム(車台)を新しくして、2015年に新世代車として投入されたXC90です。

XC90はその機能・安全性もさることながら、外部の有名デザイナーによるデザインを採用して、そのデザインも魅力的であったため、アメリカでヒット。

さらにアジアでの販売も良い。

 

XC90の他の車の販売も好調で、2015年のボルボカーズの世界累計販売台数は約50万3千台を記録し、同社の長い歴史の中で、初めての50万台突破となりました。

また、2016年の同販売台数はさらに伸び、約53万4千台となり、3年連続で販売記録を更新したのです。

 

そして、売上高も販売台数と比例して伸び、約1800億SEK(2016年12月期)となり、見事、復活を遂げたのです。

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突き進むボルボカーズ ~その独自戦略~

 

見事、復活を遂げたボルボカーズですが、その歩みは止まりません。

 

  独自戦略① 飛び級で完全自動運転へ!

 

XC90には条件がありますが、車線の中央に自車を保持することができるように補助してくれる機能があり、完全とはいえないまでも運転を補助してくれる機能もあります。

 

そこで、ボルボカーズはさらに自動運転化に近づける…のではなく、完全自動運転を目指しています。

つまり、一定条件下での自動運転ではなく、完全な自動運転を目指しているのです。

 

そのためにスウェーデン運輸管理局やイエーテボリ市と共同で、一般市民の試乗データを蓄積する実証実験を2017年に行う予定です。

その際に使用される車は、XC90にレーザーレーダー、脳の役割をする新型ECU(電子制御ユニット)などを追加した完全自動運転に近い性能を持つ試作車です。

この試作車に一般市民に試乗してもらい、運転者の反応を開発に反映させるのです。

 

では手動と一定条件下での自動運転とを切り替えられる機能を飛ばして、完全自動運転をなぜ目指すのでしょうか?

それは、同社の「安全」に対する想いをさらに進化させ、新型車での交通事故による死亡者や重傷者をゼロにしたいからです。

 

これにより、完全自動運転車を目指すメーカーとしてBMW・フォードに並び、名乗りをあげたのです。

 

そのための一つとして、配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズと自動運転車を共同開発することになりました。

ウーバーがセンサーやソフトウエアを開発するのに対し、ボルボカーズはブレーキや電気系統の故障のバックアップ機能の開発を担当するそう。

 

さらに、ボルボカーズは自動車部品大手のオートリブと自動運転のソフトウエア開発を目的とした会社を共同で設立しました。

また、画像処理技術で存在感を増しているベンチャー企業のモービルアイや半導体大手のエヌビディアとも提携しています。

 

この協業について、サムエルソンCEOは言います。

「これからも我々が必ず自前で担うのは、クルマ作りの部分です。ほかの自動車メーカーとパートナーとなることは(ない)」と。

しかし、「未来の開発はこれまでの関係とは違ってくる。その一例が自動運転なのです」と開発への意気込みを話します。

 

このように、切り替え可能な自動運転車ではなく、安全にもこだわる完全自動運転車の開発を目指しているのです。

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  独自戦略② いざ行かん、世界を繋ぐネットの海へ!

 

ボルボカーズは販売方法に手を加えようとしています。

それがクルマの電子商取引――ネット販売です。

しかし、ボルボカーズの電子商取引は、まだ、販売店の補完という位置づけです。

 

ネット販売強化のため、2016年7月にレーシングチームのポールスターを買収しました。

これは、ブランド力強化のためでもあります。

 

今後の電子商取引の展開には、ネット上で車のパーツ構成をカスタマイズして販売するというイメージがあります。

そのことを表すように、ポールスター・パフォーマンス・パーツを発売しました。

 

また、全く新しい形の店舗も準備しています。

東京など世界の都市中心部に4か所置かれ、新たな顧客獲得やショールームとして、電子商取引とで相乗効果を生み出したいと考えているそう。

 

もはや「顧客がディーラーに来るのを待つ時代ではありません」とサムエルソンCEOは、未来像を話します。

 

  独自戦略➂ あなたのうしろにお届け! ~キーレス~

 

イン・カー・デリバリー。

2016年5月に、ベンチャー企業や物流会社のポストノードなどと共同開発したサービスです。

ネットで注文した商品がボルボ車に届けられるというものです。

 

このサービスの肝となるのが、物としての鍵をなくすキーレス化です。

ボルボカーズは2017年までに車の鍵を廃止して、スマホの専用アプリで車を開閉できるデジタルキーを使用するとしています。

これにより、配達員がトランクを開けて、荷物を配送するのです。

このサービスは2017年3月時点で、日本では未定となっています。

 

「これからはクルマが情報のプラットフォームになる。デジタルキーを使った他のサービスのアイデアも持っている」と、新サービスの担当者であるロバート・ジャグラーさんは自信をみせます。

これからの同社のサービスにも期待大です。

 

このような独自路線を突き進み、2020年には80万台の世界販売台数を目指すボルボカーズですが、営業利益率を見るとダイムラーなどに見劣りしてします。

これについて、サムエルソンCEOは、販売台数が増えれば利益も伸び、「小型車ではジーリーとの共通部分を増や(すことで、)営業利益率も徐々に上向くと」考えていますと話しています。

 

このように自分が決めた道を邁進するボルボカーズは、その身をもって色々な戦い方があることを示してくれいるのかもしれません。

 

この記事を読んで

 

車にはあまり縁のない私でも、ボルボという名前は知っていました。

そんなボルボカーズが、売却・買収されていたなんて、全然知りませんでした。

 

そこから、自社の進むべき道を選択し集中することで復活どころか、大躍進を果たしました。

手を大きく広げることも方法論の一つとして有効だと思いますが、同社が見せた行うことを選定してそこに集中するという方法もあるということを痛感させられました。

 

また、驚いたのが、  イン・カー・デリバリーです。

車に配送するという考えにびっくりしました。

家に届けられるということもいいのですが、しかし、家で使おうと思っていないものだったり、ドライブ旅行中に急に必要になったりしたものの場合に利点が見えてきます。

このような場合に出先で手に入るのであれば、有用性は高いと感じられます。

 

さらに、完全自動運転車の開発を目指す

相当困難な道程だということは想像できます。

 

そんな高い壁に立ち向かうボルボカーズには、ぜひ完全自動運転車を完成させてほしいです。

売却からの復活を成し遂げた同社なら可能だと信じています。

ですので、完全自動運転車を完成させて、誰もが一度は夢見た手放しで目的地に到着できる世界を見せてほしいです。

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