ATM手数料で収益をあげるセブン銀行の課題と将来展望とは?

セブン銀行は収益のほぼすべてをATM手数料で稼ぎ、スマホアプリやデビットカードを発行するなど新しいサービスを次々と提供する大手流通企業グループ「セブン&アイ・ホールディングス」傘下の日本の銀行です。

今回はコンビニATM事業最大手であるセブン銀行について調べてみました。

 

現在の日本は新規の資金需要が増えない中、貸出金利が下がり、有価証券運用の利回りも低下傾向です。

そのため、上場している地銀などの銀行の大半が減益を見込んでいます。

 

このような状況で、売上高に相当する経常収益が1104億円で、そのうち1022億円をATMで上げているというビックリするような銀行があります。

 

その銀行とは、セブン銀行です。

 

セブン銀行は、セブン&アイ・ホールディングス傘下の銀行として2001年に設立されました。

株価は2016年12月12日終値で343円、2015年4月が天井で現在は下降トレンド傾向にあります。

 

一般的な銀行は預金を集めて、それを貸したり・それで有価証券の運用をしたり、振込などの手数料で収益を上げています。

この場合、預金規模や支店数が重要となります。

 

しかし、セブン銀行は設立から15年、支店はなく、有人拠点は東京の本社と7つの出張所のみです。

同行の預金残高は6000億円にも満たず、下位クラスの地方銀行規模です。

また、貸出業務はカードローンのみです。

 

どのようにしてATMで収益を上げているのでしょう?

 

ATMで利益を出す!?

 

ATMを利用すると手数料を支払います。

セブン銀行はこの手数料を受け取ることで利益を得ているのです。

 

同行のATM は大手から地方まで多くの銀行やゆうちょ銀行、信用金庫など国内約600の金融機関のキャッシュカードが使えます。

これら多くの金融機関とセブン銀行のATM利用者が取引すると、支払われる手数料の一部が、セブン銀行に支払われているのです。

つまり、セブン銀行のATMを利用して他の銀行と取引をしてもらえればもらうほど、利益が出るということです。

また利用者のメリットとしてコンビニのため24時間お金の出し入れができることが大きいと思われます。

通常、大多数の人は銀行の業務時間内に銀行へ行って出入金や振込をすることが出来ません。

それに比べて24時間自分の好きな時間や都合に合わせてお金を出し入れできることは既存の銀行が出遅れていたユーザビリティの向上に大きな影響を与えました。

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提携先の確保

 

この手数料で利益を上げるために重要なのは、提携先を確保することです。

 

まず大切なことは、中立性を維持することです。

特定の銀行の色を大きく出してしまうと、当然、他行からの信用は得られません。

したがって、特定の銀行の色が付かないよう細心の注意を払っています。

 

提携先確保のための一つとして機能の充実も挙げられます。

セブンイレブンでのプライベートブランド商品開発で培ったノウハウを生かして、オリジナルのATMを開発しました。

これにより、機能を充実させることができたのです。

例えば、VISAや中国の銀聯(ぎんれん)のマークがある海外発行カードでも現金が引き出せたり、英語やフランス語・インドネシア語など12ヶ国語に対応したりしています。

 

しかし、オリジナルのATMとなるとコストが通常のATMよりかかってしまいます。

それは、台数を多く調達することにより全体としてのコストを抑えています。

 

さらに、現金の補充があります。

 

一般的にATMは、入金よりも預金の引き出しの方が圧倒的に多いのです。

例えば、セブン銀行のATMの年間利用回数は7億8000万回で、その8割が引き出しで、1回の平均額は3万8000円だといいます。

そうすると、瞬く間にATM内の現金が枯渇してしまいます。

しかし、セブン銀行が保守、現金の補充回収のためにATMを訪れる回数は1台当たり月に1回程度

では、だれが現金を補充しているのでしょう。

 

それは、セブンイレブンの店員や買い物客です。

 

ATMで預金を引き出した利用者や買い物客がセブンイレブンで買い物をします。

そして、売り上げがある程度レジにたまると、セブンイレブンの店員は同行のATMに入金します。

これにより、ATMに現金が補充されるというわけです。

まさに他行では真似できない仕組みです。

副次的にですが、店員の使うカードには出金機能はないため、入金するとその場で出すことはほぼ不可能になり防犯対策にもなっているそうです。

他にも便利で安全に入金したい深夜業の方も重要な現金補充の一員です。

 

これらが功を奏し、ゆうちょ銀行や信用金庫など多くの提携先を確保することができたのです。

また、初年度66台だった同行のATM設置台数も2016年3月現在22,472台になりました。

驚くことに、同行のATMは新生銀行などの銀行にも設置されています。

 

様々な新サービスの提供

 2016年10月17日からは、デビット付きキャッシュカードも発行されました。

※デビット機能とは、自分の預金口座と紐付けられた決済用カードのことで、このカードで決済すると代金が即座に口座から引き落とされる仕組みになっているので使い過ぎの防止にもなります。

 

セブン銀行デビットカードの最大のメリットは何といってもセブン-イレブンで利用すると

買物金額の1.5%がnanacoポイントとして還元される

ことです。

nanacoユーザーや、セブン-イレブンをはじめとした7&iグループ店舗で頻繁に買い物をする人にとっては非常に魅力的なカードです。

 

ポイント付与の条件

利用店舗 還元ポイント
セブン-イレブン デビット利用金額の1.5%
7&iグループ店舗の一部 デビット利用金額の1.0%
その他JCB加盟店 デビット利用金額の0.5%

 

また、現在はスマートフォン向けのアプリ 「セブン銀行 アプリ通帳」を提供しており、最寄りのセブン銀行ATMまでのルートを表示したり、口座残高や利用明細が確認できます。

 

さらに、2017年春からは、じぶん銀行(KDDIと三菱東京UFJ銀行が共同出資して設立したインターネット銀行)とセブン銀行が提携し、じぶん銀行の口座を持つユーザーはキャッシュカードを使わずにスマートフォンを使って、セブン銀行ATMで入出金取引ができるようになります。

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今後の課題と対策一例

 

IT(情報技術)を活用した金融サービスの波が徐々に大きくなってきています。

その波の中でセブン銀行に大きく影響しそうなものに、キャッシュレス化があります。

例えば、買い物をスマホで決済するという感じです。

かく言う私もスマホで買い物をしています。

もし、このキャッシュレス化がさらに進むと、ATMの利用機会が減り、手数料により収益を出しているセブン銀行に重大な影響及ぼしてしまいます。

 

救世主は外国人?

 

そこで目を付けたのが、海外送金です。

一般的に、海外送金は言語の壁があり、それを乗り越える労力と得られる利益が釣り合いにくいです。

そのため、海外送金にかかる費用は高くなっている場合が多いです。

 

セブン銀行は、国際送金ビジネスを行うアメリカのウエスタンユニオンと提携し、2011年3月から割安な送金サービスを始めました。

これにより、200以上の国・地域に現金を送ることができるようになったのです。

また、手数料も送金額が1万円以内なら990円、5万円以内なら1500円などとして安価で海外送金できるようになりました。

 

2012年3月期に年間3万3000件だった送金件数は、2016年3月期に81万6000件に増えました。

 

日本には2015年時点で223万人もの外国人が住んでおり、セブン銀行が試算したその市場規模は約5兆円…

侮れない規模です。

セブン銀行の顧客を日本に住んでいる外国人へと拡大すれば、まだ手つかずの分野は残っていると、同行の二子石社長は言います。

逆に外国人の方から考えると、日本語しか話せない銀行が大半な中で、母国語で煩雑な銀行の手続きを行えるメリットは、かなり高いと思います。

 

もし、海外送金を通じて外国人居住者を顧客として獲得することができれば、銀行としても多くの利益を見込める可能性があります。

 

現在はまだ多くの収益を得ることが出来ているセブン銀行。

 

これから押し寄せてくるITと金融の融合という大波に乗ることができるのか、それとも押し戻されるのか…

セブン銀行のこれからの舵取りに注目です。

 

まとめ

 

私は、ATMで支払う手数料は、人件費やATMの管理・修繕費などに必要なのかなというくらいにしか思っていませんでした。

しかし、セブン銀行はそのATMの手数料に目を付けて、収益に繋げ、ひいては経常収益のほとんどをその手数料で得るに至りました。

言われてみれば確かに、手数料を必要とする作業を一手に担うことができれば、利益になりえます。

 

このようなポイントに見つけるというのは、まさに感嘆です。

 

今まで、私は何かに特化することや先見・新しいジャンルを見つけることが大切だと考えていました。

それらも大切ですが、それらを追い求めるのではなく、今あるものを便利にすることで収益が図れるということに気づきました。

 

これから同行にはITと金融の融合という新しい問題が襲ってくるかもしれません。

それ以外の問題もきっと出てくると思います。

しかし、いち早く手数料に着目し利益を得る収益構造を作ることができたセブン銀行なら、きっと乗り越えてくれると思います。

その時、どのようにして乗り越えていくのか非常に気になるところです。

 

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