西松屋が縮小市場でも連続増収できるワケとは?!


(日経ビジネスオンラインより引用)

 

西松屋という会社をご存知の方は多いでしょう。

 

ウサギの看板が目印の、ベビーグッズの専門店ですね。

読者の中にも、小さい頃よくお世話になっていたという方も多いでしょう。

 

……覚えていないかも知れませんが(笑)。

 

さて、そんな西松屋。

少子化のため縮小市場となっている子供用品業界において、20年以上も業績を伸ばし続け、今や年商1300万円以上


(売上は1300億円を突破:日経ビジネスオンラインより引用)

 

店舗数も競合他社を3倍近くも引き離し、2017年2月で908店を記録するなど、大躍進を遂げています。

 

 

なぜ、ここまで西松屋は成長し続けられるのか。

 

 

そこには、デフレ化と人件費の上昇という時代を背景に、既存の常識にもとらわれず無駄なものをそぎ落とす徹底的な効率化」と、様々な業界の意見を取り入れた「開発力」、立ち止まらずより良くするにはどうしたらいいか考え続けるカイゼン」力にありました。

今回は、そんな「機械的」でシンプルなシステムを求め続ける西松屋の「情熱」に迫ります。

 

 

5店舗兼任でも問題なし!?徹底的な業務の効率化!

「越谷大袋店(埼玉県越谷市)の店長に任ずる」

突然、本部からこのような辞令が下りました。

辞令を受けたのは、千葉県で4店舗もの西松屋チェーン店を兼任する名倉拓郎店長

これで5店舗目の店長兼任となります。

 

これだけ見ると、「これだけの店をひとりに任せるなんて、大変だろうな。」と思うでしょう。

しかし、名倉店長自身は「普通に運営できていますね」と涼しい顔。

 

これは驚きです。

どうしてなのでしょう。

 

 

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その秘密は、西松屋の成長を支える「ローコストオペレーション」にありました。

 

通常、店長の業務といえば、従業員を管理しながら実務も担う「プレイングマネジャー」にならざるを得ないケースが多く見られます。

なぜなら、人手不足が深刻化する中、なんとか運営が破綻しないように、店長自らが長時間労働をせざるを得ないからです。

 

しかし、西松屋ではそんなことはありません。

 

店長をはじめ、各従業員がやることとやらないことを役割に応じて明確に線引きしています。

その中で、「管理者としての店長が本質的にすべき業務とは何か」をつきつめました。

「発注、レジ打ち、掃除」といった店内作業は従業員に任せ店側でやる必要ないと判断した業務は本部に集約

その結果、「5店舗1人管理」という効率的な運営手法を編み出したのです。

 

 

また、商品の扱い方や顧客への提供方法も効率化されています。

衣類はハンガーにかかったまま各店舗に納入され、従業員はそれを壁のラックにかければ陳列は終わり。

高いところにかける場合は専用の棒を使いますが、これは顧客も使うことができます。


(陳列も取り出しもワンタッチ:日経ビジネスオンラインより引用)

 

さらに、会計の終わった服はハンガーを付けたまま客に渡してしまうといいます。

 

同社がこのような手法を用いているのは、人件費によるコスト増加や、作業に費やす余計な時間を抑えるためです。

各人の役割を明確化し、業務自体を効率化する。

結果、先述のように908店というダントツの店舗増設が可能となり、純利益は34.8%増の51億円に上昇したといいます。

 

 

さらに、効率化の仕組みも固定的なものではありません。

日々の取り組みで「いかに業務のムダをなくすか」を考え、柔軟に進化させています。

この「カイゼン」力が会社の新陳代謝を絶やさず、事業停滞を防ぐポイントとなっているのです。

 

例えば、同社では不良品の返品処理に、2枚の書類を作成しなければならなかったのを、一本化したことがありました。

「書類作成にムダがある」という現場の不満の声を汲んでのことです。

これにより、不良品処理にかかる時間を全体で年7883時間減らすことができたといいます。これは年間700万円近いコスト削減ができる計算となるそうです。

 

見捨ててしまいそうな、現場の小さな不満まで常に拾い上げ、日常業務として改善する。

常により良い効率化を図ろうという「カイゼン」の姿勢。

 

これこそが、西松屋の発展の秘訣です。

 

 

商品開発~異業種の有能な人を採用し、必要な機能を追求~

西松屋の特長はこれだけにとどまりません。

商品開発についても、独自の工夫をしています。

 

西松屋は、単価1000円を下回る商品が圧倒的に多いといいます。

しかし、ただ安いだけでは消費者はひきつけるのは難しい。

そこで、西松屋は2010年から大きな舵切りを行います。

 

 

まず、電機メーカーや製造業といった異業種畑の人材を中途採用。

前職で培ったノウハウをもとにした製品の開発に乗り出します。

 

ここでその新担当につけた条件は、「余計な機能を取り払い、本当に必要な機能だけを残す」こと。

つまり、多機能に逃げないということでした。

 

例えば、元セイコーエプソンの技術者・伊藤清志氏に課せられたのは、「抱っこひもを作る」ことでした。

当時、ひもから子供が脱落し、頭を打つなどして大けがを負うケースが多いことが社会問題化していました。

そのことを知った伊藤氏。

赤ちゃんの肩から胸をカバーするベルトを付けることで、赤ちゃんが滑り落ちないようにする仕組みを考え、その機能を備えた「ダッコール」を開発しました。


(脱落を防ぐことだけをつきつめたことが成功のカギ:
日経ビジネスオンラインより引用)

 

この商品、昨年11月の販売以来、累計9000個と好調な売れ行きとなっています。

 

また、元パナソニックの技術畑にいた黒崎敏彦氏が開発した「ストレッチパンツ」。

黒崎氏が注目したのは「伸縮性」でした。


(伸縮性だけを追い求めたことが大ヒットの秘訣:
日経ビジネスオンラインより引用)

 

こうしてできた同商品は、2015年の販売以来、累計販売数が100万本という大ヒット商品となっています。

「パンツを作るプロから見れば、あって当たり前のものがない。でも、お客さんから見れば、全部必要ないものだった」

と、黒崎氏は振り返ります。

 

 

商品開発を任された人間は、企画から仕様書の作成、原材料の調達、商品パッケージの企画、そしてクレームの受け付けまで、基本的に1人で行います。

これが西松屋流の商品企画のやり方です。

開発者個人にすべての仕事を任せる。

これにより、余計な人件費や業務上のロスを抑えながら、担当者も責任感をもちながらよい商品を生み出すことができるのでしょうね。

 

 

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成長を支える社長のスピリット~国内での市場開拓を目指す~

さて、運営・開発の観点から「徹底的な効率化」を図り、企業として成長してきた西松屋。

この背景には、同社の創業者の娘と結婚した縁で、この業界に足を踏み入れた大村禎史社長の強い想いがありました。


(大村禎史社長:日経ビジネスオンラインより引用)

 

大村社長は、それまで鉄鋼業界で務めてきたそうです。

つまり、自身が異業種畑の人間だったのです。

 

そして、小売業界に転じてきて、「現場の生産性を高めるという考え方が、経営者や現場にない」ことを痛感したといいます。

 

そこで、90年に専務となった大村氏は、大きな経営改革に乗り出しました。

店舗面積の統一、家族連れを意識し店内の通路を拡張、什器や内装の統一化による低コストでの大量出店

消費者の節約志向が徐々に高まる中、ユニクロやしまむらなどと並んで低価格販売を強みとする「デフレ時代の勝ち組」と称されるようになりました。

 

このように、異業種の観点から小売業の問題点をズバリと察知し、時代の流れを意識しながら業務の画一化を図ることで、同社を成長させてきた大村社長。

業務の効率化、必要な機能だけを備えた商品開発、異業種の人員の積極的な採用など、そのスピリットは見事に現在の西松屋に活かされています。

 

今でも、兵庫県姫路市の本社から、全国に指示を送っているという大村社長。

西松屋の今後の展望について、どのように考えているのでしょうか。

 

少子化が加速する中で、同社をはじめとした子供用品の業界が、これまで通りの成長を続けられるのか疑問視する声もあります。

 

 

これに対しても、大村社長はまだ成長の余地があると見ています。

 

足場となるのは、売り場を維持できなくなった総合スーパーの跡地や、他の小売りチェーンが市場とみなさないような地方への出店です。

実際、四国など都心から遠く離れた地方にも出店し、大きな業績を残す店舗もあるそうです。

 

また、会社によっては、別のビジネスモデルを構築しようとしたり、飽和した国内市場から新天地として海外出店を目指したりするところもあります。

もちろん、西松屋も事業を画一化せず、新たなことに挑戦しようという姿勢をもちながら運営を行っています。

しかし、以前その一環で取り組んだという、海外進出新業態である雑貨店の試験運営や韓国出店は、残念ながらいずれもすでに撤退しています。

 

逆にいえば、国内市場で特定の事業に集中したとしても、たゆまぬ改善を積み重ねれば十分に成長可能なことを表しているといえそうです。

国内という本筋を見据えて、西松屋は挑戦を続けていく…。

 

 

まとめ

「徹底した業務の効率化」

「末端の些細な声も無駄にしない『カイゼン』力」

「異業種の発想を取り入れた運営」

「多機能性を切り捨て、必要な機能だけを残した商品開発」

 

これらを武器に業界最大手のビッグ企業に成長した西松屋。

そこには、自身も鉄鋼業から転職したという大村現社長の強いスピリットが根づいていました。

 

また、その方針をつきつめれば、少子化が進み縮小傾向であるという見解もある国内での市場でも、まだまだ開拓の余地があるとみており、事業転換や海外進出は考えていないといいます。

 

焦って海外進出を図り、M&A(合併・買収)に踏み切って失敗に終わる企業もあります。

しかし、自社の強みを磨き続ければ、夢物語のような成長プランは必要ないのです。

 

西松屋はそんなメッセージを、自身の経営姿勢で示しているように思えます。

 

 

会社情報

会社名
株式会社 西松屋チェーン

 

設 立
1956年10月

 

資本金
25億2300万円

 

売上高
1,362億円(2017.2期)

 

事業内容 
ベビー・子どものくらし用品専門店チェーン

 

本 社
〒671-0218 兵庫県姫路市飾東町庄266-1

 

店舗数
908店舗(2017.2月現在)/全都道府県

 

代表取締役社長
大村禎史

 

URL
https://www.24028.jp/

 

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