個人向け通販LOHACOは利益が出ていない!?企業研究

法人向け通販大手ASKULが個人向け通販に進出しています。その個人向け通販とは、LOHACO(ロハコ)

ロハコは洗剤やティッシュなどの生活用品からビールやお菓子などの飲食物、さらに洋服や電化製品など、日用品を中心に生活に密着した色々な商品を扱う通販サイトです。

 

この通販サイトのロハコを運営するのは、ASKUL(アスクル)です。

アスクルはコピー用紙やファイル、インクトナーなど会社に必要なオフィス文具を文字通り、注文すれば明日に来るという法人向けオフィス文具通販会社の大手です。

 

ネット通販として有名なものにAmazonや楽天市場などがあります。

そんな有名で大手がひしめくネット通販業界で、アスクルが運営するロハコは、2016年5月期の売上高で328億円という記録を出したのです。

 

Amazonや楽天市場などが軒を連ねる中、ロハコはどのようにしてあの記録を出したのでしょう?

メーカーとタッグを組む

なぜ328億円の売上高を記録できたのでしょう?

そこには、他にはない特徴と工夫がありました。

 

  来てくれる人…そこからくる必要性

まず、挙げられるのがロハコを利用する人です。

Amazonや楽天市場などの通販サイト大手の利用者は、書籍や家電など1つの商品を購入することを目的にしています。

それに対し、ロハコの利用者は、食料品や日用品など生活に必要な多くの商品を購入することを目的にしています。

 

単品買いを目的としている通販サイトでは、顧客吸引力のある商品や安さ、配送速度や配送料を工夫することで、他と差別化して自社の強みを発揮することができます。

しかし、生活必需品を販売対象としているロハコでは、先のようなサイトのような商品そのもので他と差別化することは難しい…

 

そこで見出されたのが、魅力ある売り場づくりだったのです。

 

販売データを公開?

 

魅力ある売り場づくり…そのためにロハコは商品を卸しているメーカーとタッグを組んだのです。

しかし、メーカーとって重要なことは自社の商品が売れることなので、メーカーとタッグを組むことはなかなか難しいことです。

 

そこで、ロハコは商品の販売関連のデータをメーカーに公開したのです。

例えば、購入者の年齢や性別、どのサイトから来た人がどんな商品を買ったか、商品価格の変動によりどのくらい売れたかなどのデータを公開したのです。

実際、日清食品EC営業課の飯田さんは「商品ごと、顧客ごとの販売実績を把握できるのはありがたい」と言います。

このようにはメーカーにとって非常に有益なものです。

しかし、ロハコほど多くの情報を公開してくれるところは、なかなかありません

 

さらに、情報を公開するにとどまらず、自由に分析することができる環境をもアスクル社内に整えたのです。

実際にデータを分析すると、思いもよらない結果が出てくることがあるのです。

たとえば、酒類と一緒に買われるのは何だと思いますか?

普通に考えると、おつまみやお菓子かと思いますよね。

それが、特定保健用食品の健康茶だったんです。

お酒も飲みたいけど、健康も気になる…

そんなジレンマを感じさせてくれる結果です。

注意:この結果はあくまで一例です。

お酒の購入頻度などで結果は異なります。

 

データ公開・分析環境に加えて、他社のデータも参照できます。

その結果、ロハコは多くのメーカーと強力なタッグを組むことができたのです。

タッグを組むことができたメーカーも年々増加していて、食品や生活用品、製薬など幅広い業種から約100社に及んでいます

 

これにより、より利用者に合った商品をオススメすることができるようになったのです。

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成果一例

 

メーカーとタッグを組むことで、より利用者に合った商品をおすすめすることが可能になった他にも成果があります。

 

その一つとして、まとめ割というものがあります。

まとめ割とは、一定の範囲内ですが、商品の種類や購入数に応じて一定の割引を受けられるというものです。

例えば、2017年1月31日18時までの受験応援まとめ割というのがあります。

これは筆記用具、修正テープ、風邪予防、夜食用のお菓子など8種類のカテゴリーから、異なる3つのカテゴリーの商品を選ぶと、5%割引になるというものです。

その選んだカテゴリーが5種類になると、10%割引になります。

 

このまとめ割の会議で、あるテーマが掲げられた時には私はこれ、私のところはこんなのがあるなど活発に提案が交わされて、メーカーの垣根を越えて様々な商品が組み合わされます。

私たち利用者からするとセットで割引されるなら、ついでにこの商品も買っちゃおうかなという気になってしまう魅力的なセールです。

メーカーにとっても安く売るというだけの意味ではなく、新規顧客の獲得につながる有力な販売ツールでもあるのです。

 

さらなる成果として、商品開発にもつながりました。

それが、花王が2016年から発売したロハコ・アスクル限定の消臭スプレー

「リセッシュ 除菌EX ナチュラルストーンデザインボトル」

です。

データを分析して開発されたこの商品は、目立たないことを意識してつくられたものです。

店舗での販売の場合、商品棚で目立つ必要がありますが、ネット通販では目立つ必要はないのです。

そこで、家に商品が置かれた時の状況を考えてデザインされたのがこの商品なのです。

実際、の商品は発売後10日間で従来品と比べて12倍の販売を記録しました。

その後も順調に数字を伸ばし、「リピート率も通常より高い」といいます。

 

このように色々なメーカーとの強力タッグでコツコツと成果をあげることで魅力ある売り場づくりを行い、ロハコは328億円の売上高を記録できたのです。

また、タッグを組んだメーカーも同じく、ロハコでの2016年5月期の売り上げは、前の期に比べて約2倍になりました。

 

そんなロハコ、実は利益が出ていない

 

そんなロハコは2017年5月期の売上高を480億円と見込んでいます。

しかし、ロハコは利益が出たことがないのです。

 

328億円の売上高を出した同期のロハコ営業損益は34億円の赤字

2017年5月期も同様に39億円の赤字を見込んでいます

先行投資がかさんでいるという面もあります。

ほかの要因としてゴールドマン・サックス証券の投資調査部長は「(ネット通販は) 配送コストが高い」

続けて、「高価格な家電や、軽いのに付加価値の高い衣料品ならまだ(採算が取れるが)、食料や日用品では構造的に利益が出にくい」と分析しています。

 

それに対し、アスクルの2016年5月期連結決算の売上高は3150億円、営業利益は85億円です。

ロハコの売上高は、アスクル全体からすると10%ほど。

そして営業損益は赤字となると株主から見た場合、ロハコはアスクルにとって「お荷物」と言われかねない状況です。

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ではなぜ続けるのか…

 

営業損益で34億の赤字を出しているロハコを、アスクルはなぜ続けるのでしょうか?

 

危機感

 

アスクルがロハコを続けるのは…

アスクルが営むオフィス用品のカタログ通販という事業モデルから脱却できなければ、ネットの世界が広がった現代を生き残れないという強い危機感があるからです。

 

その発端は、2008年9月に世界的な金融危機を引き起こした、リーマンショックです。

これにより、各企業が経費を抑えようとオフィス文具の購入を控えたことから、売上高の伸びが止まってしまいました。

さらに追い打ちをかけるように、翌2009年のスマートフォンの普及が重なりました。

このスマホ普及を契機として、スマホの画面だけで直感的にほしい商品を購入できるネット通販大手のAmazonや楽天市場が、日本でも圧倒的な地位を確立する状況にあったのです。

 

このままEC(ネット上で行う商取引。例えば、ネット通販。)が普及すれば、利用者にとって法人向け・個人向けという違いはないに等しいものとなります。

そこで、アスクルの従来の事業モデルからの脱却が必要だという危機感を抱いたのです。

 

そして、ロハコ誕生…

 

従来のアスクル事業モデルからの抜け出すために、個人向け通販に挑戦し始めたのです。

 

実はアスクルは個人向けに2007年に「ぽちっとアスクル」2010年に「アスマル」を運営しましたが、いずれも実を結びませんでした。

この時の状況をアスクルの岩田社長は「ネットでいかに利用者とつながっていくかという点で実力が足りなかった」と分析しています。

 

しかし、2012年にアスクルとヤフーが資本業務提携を結びました。

これにより、ノウハウや人材という新しい風がアスクルに吹き込まれ、さらにヤフーのサイト上でも連携し、集客の流れも生まれました。

物流をどうすればいいか悩んでいたヤフーの宮坂CEO(最高経営責任者)をアスクルの物流施設を紹介したところ、「一目ぼれだった」と岩田社長は提携秘話を話します。

また、ロハコの事業運営モデルは、運営会社が商品を仕入れて販売するというAmazon方式を採用しました。

これにより、同年に誕生したのがロハコなのです。

そして、メーカーと強力タッグを組んで魅力ある売り場づくりを行い、成長してきたのです。

 

目指すは…

 

EC業界はライバルが多く、現れては消えが激しい世界です。

これからアスクルはどこへ向かっていくのでしょう?

 

モノやサービスを生み出す構造をよりシンプルでわかりやすいものにして、商品を売買する場所以上のメーカーと消費者を繋ぐ橋渡しを目指しています。

岩田社長は、「メーカーと消費者の間の壁をできるだけ薄く(、いや)、取り去ってしまってもいい。」。

続けて、「アスクルは両者が直接向き合う場所を提供するプラットフォームになりたいのです」と意気込みを語っています。

 

その言葉をよく表しているのが、目立たないデザインになっている「リセッシュ 除菌EX ナチュラルストーンデザインボトル」です。

 

「(理想からするとまだまだ)ですが、頂上がどこにあるかはわかってきた。あらゆる情報をオープンにし、これまでにない魅力的なECを作っていきたい」と岩田社長は将来像を話しています。

 

ロハコ事業は現在、赤字ですが、数年後には売上高が1000億円に達し、黒字化できる見込みだそうです。

ロハコが成功した場合、消費者のライフスタイルに変革がもたらされ、IT業界の勢力図は大きく塗り変わっているかもしれません。

 

まとめ

 

この記事を読んでみると、確かにスマホが広まったころからネットで商品を購入する機会が多くなった気がします。

個人的にもそうですが、会社の中でも同様にネットで商品を購入する機会も格段に増えました。

この時に重視していることは、利便性と価格です。

そうなると私たちにとっては法人・個人の区分は関係ないので、アスクルが現代を生き残ることができないとの危機感を持つのもわかります。

 

しかし、普及し始めた時期にそのことに気づいて、そのための手を打とうと動いたことはすごいと思いました。

確かに何度か失敗しているので、ロハコを始める時にまた失敗するかもという恐怖心が絶対あったと思います。

そこで諦めて他の方法を探すのではなく、メーカーとタッグを組むという新たな手を見つけて続けることを決めたことは、本当にすごいと思います。

アスクルのその諦めない心やそれについていく社員の皆さんに、驚き、そして、尊敬です。

もしロハコが成功した時、アスクルと同じ様にアナログとデジタルの間で悩んでいる企業の希望の星になってくれるはずです。

 

また、私達にとってもロハコが成功することは、非常に嬉しいことです。

それはアスクルが考えている「メーカーとの距離を無くす」ということが成功した証だからです。

これで、今までは商品を買うだけだった私達が、商品に何かの形で関わることができるので、今までよりも商品のみならずメーカーにも愛着が湧くからです。

 

そのためにも、ぜひロハコには大成功してほしいです。

 

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