総合塗料大手「関西ペイント」 王者陥落からの攻勢が面白い!企業研究

国内最大手企業に激震…そこからみせる国際戦略!!

その業界では国内トップの企業に衝撃が走り、そこから攻勢に転じた企業があります。

その企業は、関西ペイント

 

関西ペイントは、大阪市中央区に本社を置く会社で、1918年に設立された企業です。

塗装業界屈指の企業で、特に自動車向け塗料の分野では国内最大手です。

トヨタやスズキなどの大手の自動車メーカーを顧客として、高水準の自動車向け塗料を提供しています。

独自の発色技術や傷のつきにくい塗装技術など世界トップレベルの技術力を持っています。

 

国内最大手の陥落とその原因とは

 

自動車メーカーの海外進出に合わせて、関西ペイントも早めの海外進出を開始しました。

 

しかし、約13兆円といわれる世界の塗料市場に占める自動車向け塗料は6%ほどです。

世界の塗料市場の4割は住宅やオフィス向けの建築用塗料でした。

自動車向けでは強い関西ペイントですが、日本国内での建築用塗料の市場が小さかったこともあり、世界の建築用塗料分野での存在感は小さかったのです。

 

そんな状況だったにもかかわらず、積極的に海外事業の拡大を図っていなかったのです。

なぜなら、トップクラスのシェアを持つ自動車向け塗料での「勝ち組意識」が自ら現地で塗料事業を開拓する意識を阻害していたからです。

 

そして、2014年…関西ペイントに戦慄が走りました。

日本ペイントが持株会社制に移行し、シンガポールの塗料大手のウットラムグループと設立した合弁会社を連結子会社としました。

それにより、連結売上高で5000億円規模となった日本ペイントは、関西ペイントを抜いて塗料メーカー国内最大手となり、世界の5番手争いに躍り出たのです。

 

意識改革…出遅れた者として…

その時、関西ペイントは世界の10位争い

さらに、世界の塗料業界の位置付け争いは、終盤に向かいつつありました。

PPGインダストリーズといった世界大手の企業は、この10年で次々と買収をかけ、着実に基盤を固めていっていました。

 

国内では強い事業基盤を用いながら、関西ペイントは世界展開に出遅れてしまっていたのです。

 

そこで、同社は自らを「ミドルクラスのレートカマー(中堅の遅参者)」と位置づけ、挑戦者としての戦うべきとして意識を一転させたのです。

 

挑戦者としての戦略① 狙うは…

狙うは、世界大手がまだ着手していないアフリカ市場でした。

世界の塗料大手は欧州、米国、そして中国を中心に覇権を握っており、その市場で既に一定の地盤を固めているからです。

 

2016年、関西ペイントはアフリカ・中東地域で合弁会社の設立を次々と発表

8月にはケニアに拠点を築き、また、アフリカ最大のGDP(国内総生産)を誇るナイジェリアにも足場を作っています。

 

実際、ゼロだったアフリカ市場の売上高は2016年3月期には300億円規模に拡大し、建築塗料はアフリカ市場のトップになっています

 

また、建築向け塗料のみではなく、自動車向け塗料も視野に入れているそうです。

一般的に、国民の平均年間所得が1000ドル(約10万円)を超えると建築向け塗料の需要が増え、2000ドル(約20万円)を超えると自動車向け塗料の需要が増えるといわれています。

そのため、建築向け塗料で地盤を固めることができれば、次に来る自動車向け塗料の需要もそのまま取り込むことが可能と考えているわけです。

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挑戦者としての戦略② 餅は餅屋…

まだ世界大手が手を出していない市場を狙うといっても、それは「まだ」というだけで、いずれは世界大手の進出が本格的に開始されます。

そのために、関西ペイントは迅速に事業の地盤を固めなければなりません。

 

そこで、同社は「何でも自前」という考えを捨てたのです。

つまり、提携、買収など、進出するための方法はこだわらないということです。

仮に、買収や合弁会社の設立する場合でも、100%支配することはしないのです。

 

しかし、出資先の理念と関西ペイントの理念が同じ方向を向いているかは、重要視しています。

目指すところが同じなので、提携先の経営方針を尊重し、経営陣の入れ替えもする必要がないのです。

これが提携先の信頼を生み、関西ペイントの進出スピードの向上に繋がっているのです。

実際、世界大手との出資交渉が1年経っても進展していなかったトルコの塗料メーカーとの出資案件は約5ヶ月でまとまりました。

また、売上高約710億円を記録したインドの子会社社長は「本社がとにかく現地の経営を尊重してくれる」と成長の原動力を語っています。

 

この餅は餅屋という方針は、元金融マンや心臓移植外科医などのユニークな人材を集めるという効果を生みました。

そして、この五年で外国人幹部も3人から8人に増え、多様な人材が才能ある人材を呼ぶという好循環をももたらしたのです。

 

挑戦者としての戦略③ 求心力

任せることも大事ですが、任せすぎると暴走や反乱の可能性も高くなってしまいます。

そのバランスが難しい…

 

そこで、関西ペイントは、2つの要素で求心力を高めています。

 

一つ目は、技術で常に関西ペイントがリードすることです。

 

二つ目は、部門ごとに海外と日本との間で交流する「グローバル・ミーティング」を設けるなどして、海外と日本のコミュニケーションの頻度を増やすことです。

コミュニケーションを絶やさず相手の状況を理解することで、不正を把握するなどの牽制効果もあります。

しかし、コミュニケーションは、商材の新用途の発見・商材の拡大、ショールームのより良いノウハウの浸透などの好効果も同時にもたらしています。

 

今後の課題

この出遅れた者としての戦い方の成果も上がってきています。

2016年3月期の海外売上高比率は57%と、8年前の37%に比べて大幅に上昇し、日本での売上高を抜きました。

株価も上昇傾向が続いています。

 

しかし、課題もあります。

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課題①  本社機能の向上

 

先のように海外事業の成長が進むにつれ、関西ペイントの本社としての機能の弱さが露見してきました。

具体的には、本社の方針をグループ全体に迅速に伝える機能やグループ会社同士を繋ぐ機能などです。

このようなグループ全体の橋渡しをする部門は現在の同社にはないため、グループ本社の設置を急いでいます

 

課題② 人材

本社と海外とを結ぶ日本人社員の育成も必要です。

求められる人材は、橋渡しできるだけでなく、中心となって両事業を成長に導くことができる人材です。

同様に、海外の優秀な人材を確保することも必要です。

 

日本人、外国人含め、優秀な人材は総じて会社の理念を重視します。

このことに対しては、人命にも貢献する企業であることを、より追い求めていこうと考えているそうです。

実際、アフリカにおいて、マラリアの媒介となる蚊を寄せ付けない塗料やウイルスを不活性化する効果を持つ塗料を販売しています。

 

いざ勝負のとき…

世界の塗料業界の位置付け争いは、今後3年で決まるといわれています。

2018年に創業100年を迎える関西ペイント…次の100年を決める勝負が続きます。

勝負はこの3年…海外事業を成長させつつ、関西ペイント自身の課題を克服できるかどうかにかかっています。

 

この記事を読んでみて

何事も意識が大切なのだということを感じました。

 

関西ペイントも自らを「ミドルクラスのレートカマー」と位置付け、意識を転換することで、一転攻勢をかけました。

同社が行った自分の置かれた状況を認識し、意識を変え、自身に合った戦略を練り、実行していく…

 

この一連の流れは、他の企業のみならず、私自身にも使える流れだと思います。

 

その時に大切なことはコンセプト

このコンセプトが明確になれば、その先に光が差してくるそうです。

同社でいえば、「ミドルクラスのレートカマー」。

コンセプトが全てを変えたのだと思います。

 

私も現在の自分を見つめ直し、意識を変えるようなコンセプトを考えてみようと思います。

このことを教えてくれた関西ペイントには、日本の雄として世界でその座を確立してほしいです。

いや、きっとしてくれると信じています。

 

 

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