ジャパネット復活劇!カリスマ不在をチャンスに変えた新社長の秘策とは?

 

高田明社長の少し高めの声と、丁寧でユニークなMCでおなじみであったジャパネットたかたの通販番組。


(ジャパネット初代社長・高田明氏:日経ビジネスオンラインより引用)

 

そのインパクトとキャッチーさが受け、番組は大人気に。

結果、明氏は同社を一代で、連結売上高1500億円を超える大企業に育て上げました。

 

しかし、2015年1月、明氏は突如、社長の座を長男の旭人に譲り渡し、自らは経営から退きます。

その世代交代は、世間で「無謀では?」とささやかれました。

その理由は、ジャパネットの通販事業は明氏のカリスマ性によって支えられてきたためです。

 

しかし、後継者である旭人氏は、その不安を見事に払拭しました。

(高田旭人現社長:ジャパネットHDのHPより引用)

 

旭人氏はいかにして、会社の危機を乗り越えたのでしょう?

 

そこには、創業者が作ったジャパネットの本質を見つめ、会社の体制の大幅な見直しを図るという、いわば「カリスマ不在の危機をチャンスに変えた」ことにありました。

 

創業者の意志を継ぎながら、新たな時代に会社を羽ばたかせようとしている同社の姿から、ピンチをチャンスに変える秘策を考えます。

 

カリスマの存在でぼやけていた、従来の強みを見直し活かす

ジャパネットホールディングス」の起源は1986年。

先代である明氏が、長崎の佐世保にカメラ店「たかた」を創業したのがはじまりでした。

 

以降、代表自ら出演するテレビ・ラジオ通販などで注目を集め、会社をみるみるうちに大きくしていきます。

 

そんなカリスマ社長の電撃引退。

当然、不安視する声は少なくありませんでした。

 

旭人氏が会社を立て直すことに成功した理由のひとつは、そんなカリスマの存在でぼやけていた会社の従来の強みを掘り起こしたことにありました。

 

 

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テレビ通販だけはない本来の良さを伸ばす

テレビの通販番組のイメージが強いジャパネット。

しかし、テレビ通販の売り上げは、実は全体の2割程度にしかすぎません。

 

同社の本来の強みは、テレビ・ラジオでの通販はもとより、紙媒体通販、ネット販売、店舗販売などを組み合わせた、販路のメディアミックスです。

特に、最大の販路は、売上高の約4割を占めているという紙媒体通販


(日経ビジネスオンラインより引用)

 

同社では、カタログを年間3400万部も発行しているといいます。

カタログを軸に、ハガキなどのDM(ダイレクトメール)、新聞広告や折り込みチラシを組み合わせた紙媒体の総合力を生かした宣伝が、同社の最大の販売経路でした。

 

しかし、その紙媒体の潜在力が、明氏のカリスマ性の陰に隠れ、十分に発揮されていませんでした。

明氏が社長だった時は、各コーナーの担当者が掲載内容について直接明社長の判断を仰いで紙面を作成しており、構成がバラバラで、全体の統一感に乏しいものになっていました。

 

社長就任以前から、そこに問題意識を持っていた旭人氏。

カタログ事業の担当者らと議論を重ね、彼らの意見を積極的に求め、「なぜその商品を選ぶのか、どのように紹介するのか」を突き詰めながら、全体的にどのようなカタログを仕上げるのかを、徹底的に検討しました。

このように、担当の粋を集めることで、カタログのクオリティの底上げを図ったのです。

 

少品種大量販売

また、ジャパネットの競合社と大きく違う点は、多くの商品を無作為に仕入れ売りさばくのではなく、明氏の目利き力で発掘した目玉商品を大量に売り抜く「少品種大量販売」でした。

 

旭人氏は、その少品種大量販売という強みは維持しつつ、そこで売る商品の発掘の仕方を変えました。

それは社長自身が自ら、現場と一緒になって商品を発掘するという点です。

バイヤー会議に自ら参加し、商品の掘り起こしと絞り込みに多大な時間と労力を割く。

この光景は、明氏の時代には見られなかったことだそうです。

 

こうした試みを通じ、新たに発掘したヒット商品が“羽毛布団”でした。

家電を広く扱っていたジャパネットにとっては、これは小革命ともいえる変化です。

 

 

また、「少品種大量販売」の見直しは、ネット通販でも活かされています。


(日経ビジネスオンラインより引用)

 

アマゾン楽天といった、一般のネット専業大手は、膨大な数の商品点数をサイトで発信することにより、掘り出し物に出合える機会を作り出し顧客をつかんでいます。

 

一方で、ジャパネットは取扱商品の数は上記企業に遠く及びませんでした。

 

ここで、壁を切り開くヒントになったのも“少品種大量販売”でした。

昨年の秋、旭人氏は約8000点あった同社のネット通販商品を、約600品目へと削減

同時に、全商品に使い方の解説動画をつけるなど、顧客に役立つ情報を充実させました。

 

さらに、ネット通販での売れ行きは他の販路にも活用します。

ネットで売れ行きが好調な商品はカタログにも掲載。さらに売り上げが伸びれば、テレビやラジオでも取り上げる――。

 

先に紹介したメディアミックスの強み

ここに少品種大量販売の強みを組み合わせる。

 

ネット通販を、補助的な販路ではなく、その先陣を切る立場に立たせることで、

戦略的・組織的に目玉商品を少品種大量販売できる体制が整いつつある」といいます。

 

 

カリスマ不在の穴を多様な個性で埋める

経営者としても、ジャパネットの「顔」としても有能で合った先代の明氏。

 

「1人のカリスマ」不在の穴を埋めるために、旭人氏がとった方策は「多様な個性」で新たなブランドイメージを図ることでした。

「MC=高田明」というイメージがあったテレビ通販でしたが、MCを大幅に増員すべく採用活動を実施。


(テレビ通販のカリスマ・明氏の後を継ぐMC:日経ビジネスオンラインより引用)

 

多様性を持たせ、ジャパネットをけん引していく人材を育てる」という考えのもと、新戦力を加え、一気に20人以上に増やす計画です。

 

 

このように、個人の力で支えられてきた同社の経営。

カリスマが去った今、「本来の強みを再確認」と「各人が協議し合う体制の構築」、「多くの個性を集結させること」が、その危機を乗り越える方策でした。

 

旭人氏のかじ取りにより、社内の組織体制はこれまで以上に密になり始めています。

 

 

顧客の声を大切に

明氏が去ったジャパネットの課題は、社内体制だけにはとどまりませんでした。

 

これまでは、明氏の天性の商才と感性で消費者の心をつかんできました。

しかし、人の心をつかむのが上手いカリスマが不在の今、顧客の心が離れないよう、どのように寄り添っていくかも、会社の大きな問題です。

 

 

そこでジャパネットが取った方針は「天才のカン」に頼ってきた現状を脱却し、「より顧客の声を大切にする」。

つまり、消費者の生の声を吸い上げ、データとして活用する仕組みづくりをすることでした。

 

 

そのため、昨年2016年9月、同社ではジャパネットで扱う商品を直接体験できる実店舗・ジャパレクラボをオープン。

主力商品を中心に常時30商品程度を並べ、来店客は使い方を教わったり試用したりできる施設です。

 

 

商品を直接買うこともできますが、「商品に触れてもらい、効果を実感したり興味を持ったりしてもらう」というコンセプトで運営しており、「コンロにこびりついたガンコな油汚れ。でもこのクリーナーを使うと――」

というような、テレビのあるあるを直接体験できます。


(商品効果をその手で体験する利用客:日経ビジネスオンラインより引用)

 

また、来店客から集めた感想や意見を集め、カタログにも掲載。

今年5月のカタログでは、なんと1000人の生の声を、実際の写真と組み合わせて特集したといいます。

そのうえ、テレビ通販では施設内での来店客が体験する様子を映像に収め、番組の中で放送。

 

明氏の言葉の代わりに、顧客の声が商品の魅力を伝えるという画期的な仕組みといえます。

 

 

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購入後のアフターサービスにも力を入れます。

ジャパネットサービスパートナーズでは、購入後の問い合わせクレームを受け付け、製品自体の修理も「掛け持ち」しています。

テレアポから修理までを自社で担当することで、修理期間の短縮と修理代の見直しが図れます。

また、顧客の意見や修理依頼などのデータを、修理業務の過程で得た知見も加えてメーカー側に提出

品質改善を求めることも可能になります。

実際、主力品の一つである東芝の掃除機は、この手法により機能が改良されたそうです。

 

このような試みを通じ、よりよい商品の提供と顧客満足度の向上を図っているのです。

 

 

受け継がれる先代の精神

このように社長就任後、新たな方針へとかじを切り、会社を引っ張ってきた旭人氏。

しかし、その取り組みを見ていると、けっして創業当初の精神から逸脱していません。

 

むしろ、親子2代にわたり、商売の鉄則は受け継がれています。

 

 

ジャパネットの事業戦略のポイントは以下の5つ。

  1. 顧客の声に徹底して寄り添う
  2. 少品種に絞り込み大量販売
  3. 商品は発掘し改善し続ける
  4. ーカーよりも商品をよく知る
  5. MCへの信頼が生命線

ここまでで紹介した旭人氏の取り組みを改めて見ると、この5点のポイントを確実に押さえていることが分かります。

 

現に、旭人氏は「経営の根本は父と同じ」といいます。

 


(偉大な父の意志を継ぐ旭人氏:日経ビジネスオンラインより引用)

 

偉大な父を息子として間近で見てきた旭人氏。

父を尊敬し、経営者として大切なことを学んできたのでしょう。

 

そして、会社を受け継いだ今、組織のあり方を大きく見直しながらも、父が築き上げたジャパネットの強みを磨き続け、会社を守ろうと考えています。

 

このような旭人氏の取り組みが功を奏し、ジャパネットHDの2016年12月期の連結売上高は前期比14%増の1783億円で過去最高を更新。

経常利益も同13%増の161億円

今期はさらに増収増益を見込んでいます。


(2012年の落ち込み以降、売り上げは安定して推移:日経ビジネスオンラインより引用)

 

先代の明氏も「人を大事にする、お客様目線でビジネスを展開する、モノの先にある幸せを作り出すことをよく理解しているリーダーだと思う」と、旭人氏を高く評価しています。

 


(息子である現社長を信頼する先代・高田明氏:日経ビジネスオンラインより引用)

 

親子の絆だけではなく、経営者としても認め合っているからこそ、親子2代安定した経営ができているのかも知れません。

 

因みに、明氏は今年4月にサッカーJ2のV・ファーレン長崎の社長に就任し、経営の立て直しを担っているとのこと。

ジャパネットを退いた今、新たな挑戦をはじめています。

 

 

まとめ

偉大な父が成長させた会社を息子として引き継ぎ、「無謀では?」といわれながらも、会社の立て直しと業績アップに成功した高田旭人氏。

 

その姿勢は、けっして父親の方針に対抗するものではなく、むしろ父が築き上げた会社の強みを見つめ直し、磨き続けようとすることでした。

それにより、さらなるシステムの強化と顧客サポートを強化させたジャパネット。

 

個人の力ではなく、会社の「本来の強み」という原点に立ち返り、組織全体と人員の協力体制を強化する。

これこそが、旭人氏が父という「カリスマ不在」のピンチをチャンスに変えた秘訣だったのかも知れません。

 

テレビというメディアを通じ、通販業界の一時代を築いたジャパネット。

新たな時代に向かって、さらなる高みへ上ろうとしています。

 

 

会社概要

会社名

     株式会社ジャパネットホールディングス

 

代 表
代表取締役社長 高田 旭人

 

所在地
長崎県佐世保市日宇町 (本社)

 

設立
2007年6月27日

 

資本金
1000万円

 

従業員数
129人(パート・アルバイト含む)
※2017年4月現在

 

事業内容
グループ全体の経営戦略立案
グループ会社のバックオフィスコンサルティング

 

 

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