急成長を続けるヒューリックがシフトチェンジか?!

目覚ましい成長を続ける会社が、その矛先を少し変えて進み始めました。
その会社とは、ヒューリック株式会社

設立は1957年。

同社は東京の日本橋にあり、不動産の所有、賃貸、売買、そして、仲介を生業としています。

そんな同社ですが、近年、目覚ましい成長を続けています。

現に、不動産会社の昭栄株式会社と合併した2012年以降、最高収益を続けています

2014年12月期の営業利益は約360億円、当期利益は約224億円で、2015年12月期の営業利益は約420億円、当期利益は約334億円。

そして、2016年12月期の営業利益は約534億円、当期利益は約349億円と、毎年最高収益を上げていることがわかります。

 

このヒューリックがなぜここまで成長することができたのでしょう?

 

成長する必要性と、生まれる特徴

 

毎年最高益を上げる、そこには成長しなければならない理由があったのです。

 

  もたらされた…

 

ヒューリックはもともと、富士銀行(現みずほ銀行)の支店となるビルの供給・管理を行う会社でした。

そのため数多くの好立地物件を保有していました。

 

しかし、2000年代前半、順調かにみえた当社に試練が襲い掛かります。

銀行が不良債権処理を進めたことにより、みずほ銀行から取得原価より時価が下がっている物件を取得することとなり、莫大な借入金を背負うことになってしまいました

対称的に、みずほは他の大手銀行に先立ち、不良債権を縮小化できたのです。

 

  復活の糸口

 

多くの負債を抱えることになってしまったヒューリック。

その復活のためのキーが、銀行の支店となるビルだったのです。

 

銀行の支店となるビルを保有・管理していたことから、それらビルの立地は良かった。

そこで、その好立地の建物を高層化することで容積を増やし、その増えた部分をオフィスやテナントとして賃貸しすれば賃料収入を増やすことができます。

また、この方法であれば、資金をそれほど要さずに済みます。

 

その良い例が、ヒューリック銀座数寄屋橋ビルです。

このビルはもともと、みずほ銀行の関連会社が入っていたビルでした。

それを、2011年に地下4階から11回までの外観も優れたビルとしてリニューアルしたのです。

また、「GAP」が入ったことで、その賃料収入はリニューアル前と比べると、なんと倍以上となったのです。

 

この方法を繰り返し、2016年6月時点のオフィス・商業施設の賃料収入は、賃料収入全体の50%を超える程に成長したのです。

特に、日本のトップクラスの繁華街である銀座・有楽町で他の不動産会社に負けないくらいの延べ床面積を保有するに至ったのです。

そして、銀行からの賃料収入の割合も減り、賃料収入全体の23%となりました。

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  生まれる特徴 ~ 眼 ~

 

この時、ヒューリックの特徴が生まれました。

 

そのきっかけは、負債を抱え厳しい立ち位置となってしまっていた2006年に同社社長に西浦現会長が就任したことです。

この就任により、同社が復活の道へと歩み始め、そして、同社の特徴も生まれたのです。

 

それはやらないことを明確化して、収益性の高い物件を選定する眼です。

その良い例が、大手不動産会社の行う部分には手を出さないということです。

つまり、六本木ヒルズのような大型物件には手を出しません。

また、大規模開発も同様です。

こちらは、いずれは大企業が参入して来る可能性が高いからです。

 

さらに、海外物件も同じです。

これについては、実際に手を出して3年で50億円の売却益を記録したことがあります。

しかし、もしこれが売却損だったとした場合、致命傷となりえます。

そのため、西浦会長は「5年先が読みにくい事業領域で資本力のない会社がリスクを取るのは難しい」と話します。

 

そこで、同社が狙うのが中堅・中小企業から根強い需要がある好立地の物件です。

それら物件でも好立地を重視して、駅から徒歩5分以内で、地方都市には手を広げないことやらないことを徹底しています。

このような部分であれば、大手は取得に熱を入れません。

ですので、ヒューリックが持つオフィスの4分の3以上は東京23区内に存在しています。

また、それらの空室率は0.6%(2016年9月時点)です。

この数字は人気の高い千代田、中央、港、新宿、渋谷の平均と比べても3ポイント以上、下回っています。

 

 

このように同社は、成長せざるをえない状況に追い込まれ、そこから活路を見出し、そして、自社の特徴ともいえるスキルを手に入れました。

 

現在のヒューリックの売り上げを規模は、三井不動産や三菱地所、住友不動産に比べると5分の1程度で、中堅クラスの不動産会社にも劣ります。

しかし、時価総額は逆に中堅クラスの不動産会社を追い抜き、業界4位に躍り出ます。

注:このデータは2016年6月時点のものです。

 

結果、以上のような急成長を続ける会社となったのです。

 

シフトチェンジ?!それとも、新規事業?!

 

以上のように順調に成長するヒューリックですが、新たな分野に手を伸ばしました。

その分野とは、観光・高齢者向けビジネスです。

 

  な、何故に新事業へ?!

 

成長しているにも関わらず、なぜ新事業に手を伸ばしたのでしょうか?

 

復活のキーであった銀行の支店の建て替えがほぼ終わり、成長に陰りが見え始めたからです。

また、オフィス・商業ビルを新規で立ち上げ、しかも、好立地となると相当困難なものとなります。

 

そのため、新たなる手が必要となったのです。

そして、それが観光、高齢者事業なんです。

 

  観光、そして、高齢者向けです!

 

新事業をより良く表しているものとして、2012年から営業している「ザ・ゲートホテル雷門by HULIC」です。

このホテルは、9割近い客室稼働率を維持しています。

その理由としては、東京スカイツリーが一望できたり、朝食が話題になったりというのもあります。

また、他の理由として、全136室の中規模ホテルだからこそできるきめ細やかなサービスがあります。

たとえば、宿泊客が真夜中に空腹を訴えた時、「2分でご用意できます」と優しい笑みで応対する…このようなことは中規模ホテルだからこそ可能なサービスです。

安間総支配人は、「うちのスタッフはどの持ち場も担当できます。大型ホテルでは実現できない唯一のサービスに徹底的にこだわっています。」と誇らしげに話しています。

 

同ホテルも元々は銀行の支店でした。

それを、ホテルにしてヒューリック自ら運営しています。

その理由を高橋観光ビジネス開発部長兼常務執行役員は、以下のように説明します。

「ホテルはオフィスと違い、稼働率によって賃料が変動します。キャッシュフロー(=お金の流れ)が不安定な資産だからこそ、業務管理にまで関わる必要があります。」

続けて、「ゲートホテルでそのノウハウを得たいと考えています。」と。

 

2018年、新たに銀座にゲートホテルをオープン予定です。

さらに、札幌市や福岡市にある銀行の支店ビルを建て替え、ホテルの入居にするか検討しています。

 

 

そして、昨年の2016年7月、「グランドニッコー東京 台場」を600億円超で買収し、リニューアルオープンさせました。

このホテルの運営はホテルオークラの子会社に委託しています。

しかし、完全に運営を委ねるのではなく、戦略を分かち合うため月に2~3度取締役級が集まる会議を開き、意思の共通化に努めています。

 

このホテルの買収額について、高額ではないかという意見がありました。

しかし、取得したのは二百数十億円の土地部分のみで、建物は3年後で買取額も合致しているという。

また、高橋常務は、「収益性を高められれば、その分だけ利回りを上げられる」と考えており、買収額を気にしていない様子です。

それを表すかのように、平均客室単価は1万6千円台だったものが2万円台に上昇しています。

そして、建物取得時点での費用を差し引いた利回りは、市場平均よりも高い5%台の値になると見込まれています。

 

 

また、同年2月には客室が4つしかなく、1泊10万円という熱海にある高級旅館「ATAMI 海峯楼」を取得しました。

部屋から海を眺めながめることができ、地魚をはじめ厳選素材で作り上げられた日本料理を堪能できます。

この旅館は、旅館業を営むカトープレジャーグループとヒューリックとの合弁会社で運営しています。

これは独自にノウハウを創りあげ、他の不動産会社が旅館業に参入する前に版図を広げておきたいという意図です。

ヒューリックは2020年までに計10件の旅館を取得する計画を立てています。

 

さらに高齢者向けの他の事業として、約30件の老人ホームを所有しています

 

このように、観光、そして、高齢者向けのビジネスにその事業を広げています

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手を広げるうえでキーとなるもの…

 

新規事業を行う上で必須であり最重要ともいうべきモノ…

それは、人材です。

 

人材獲得のため、ヒューリックは尽力しています。

魅力は、手厚い福利厚生と人材育成です。

例えば、全国でも有数の1295万円(2015年度単体)という平均年収、資格取得にかかった費用は会社が負担、社員は無料で利用できる保育園を本社内に設置するなどです。

 

そうして、単体での社員147人(2016年9月時点)の大半が中途採用となりました。

その人材の中には一級建築士や会計士、弁護士など、いずれもプロの人達です。

この結果は、「新しい事業を成功させるには報酬を引き上げ、プロを集めないといけない」という西浦会長の理念の表れといえます。

 

不安要素…

 

先行きが明るそうに見えますが、不安要素もあります。

 

景気が不安定といえる現在、本業である不動産市場の先行きは実際のところ、不安定です。

東京オリンピックの前にはオフィスの需要のピークがくるともいわれていて、不安要素が大きい。

 

また、新規事業の観光も不安定と言わざるを得えません。

日本人、訪日外国人観光客の影響を大きく受けるので、この乱高下の影響を回避することは不可能に近いといえます。

 

さらに、積極投資により、2016年9月期の有利子負債は6848億円と、ここ数年で2倍にまで膨らんでいます。

自己資本比率が高いとはいえ、どこまで耐えられるか…。

不安は山積です。

 

不安山積の中、新しい成長モデルを収益化できるか、全てはここにかかっています。

一度、立て直したその手から繰り出された一手が、光輝く一手となるのか気になるところです。

 

この記事を読んで

 

銀行の支店を供給するという一見、すごく安定していると思われた事業が、一転して危機を招く材料に。

そんな時でも諦めずに活路を見出して、より一層の成長をみせました。

 

正直、すごいの一言。

新たなる手を打つのではなく、「今ある材料を最大限に活かす」このことを実践することは難しいと言わざるを得ません。

それを行った同社の行いは素晴らしいです。

 

また、不調時に、社長に就任して再生を任された西浦会長もすごいです。

私が同じ地位に立つことはないですが、そうなった時を想像すると、恐怖でしかありません。

そんな恐ろしい地位に立ちつつも、活路を見出す手腕に驚きました。

 

そんな同社に、さらに困難な風が吹こうとしています。

しかし、それに対しても、観光・高齢者向けのビジネスという新事業という一手を打っています。

困難に打ち勝ち、活路を見出した同社です。

きっと、困難な風をもろともせず、前進してくれると期待しています。

風に打ち勝った時には、ぜひその方法を聞いてみたいものです。

 

 

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