通販じゃないアマゾンのAWSが強い!その理由とは?!

物を買ったり、CMを見たりして超有名なネット通販大手のAmazon。
そのアマゾンの中の1つの部門が、Amazon Web Services(以下、AWS)です。

AWSは、ゲーム制作のためのツールやデータ保管用のストレージ(スペース)など、Web事業者・開発者向けにインターネット上で提供されているサービスの総称です。

端的にいうと、アマゾンが持つ莫大な設備の一部を借りて使うことができるという感じです。

AWSで提供されているものは、元々はネット通販サイトのアマゾンにリアルタイムに来る膨大な注文に対応するために発展してきた設備や技術でした。

その設備や技術を公開することで、より良いインターネット・アプリケーションを開発してほしいということを目的としています。

そんなアマゾンの一部門にしかすぎないAWSですが、成績は一部門の範囲を超え、本職であるネット通販部門を遥かに凌いでいます。

アマゾン全体の2016年1~9月期の売上高は922億ドル、営業利益は29億3100万ドルです。

そのうち、AWSの売上高は、86億8300万ドルで、AWSがアマゾン全体の売上高に占める割合は9.4%しかありません。

しかし、営業利益ではAWSがアマゾン全体に占める割合は74.4%で、21億8200万ドルもの利益を生み出していたのです。

ちなみに、AWS以外の本職などの部門の営業利益は、7億4900万ドルです。

また、AWSの成長率は年60%といわれ、マイクロソフトやグーグル、IBMでも勝てない他を圧倒する存在です。

他を圧倒する王と言っても過言ではないAWS。
その強さの理由とは何なのでしょうか。

AWSの特徴

アマゾンの本職である通販部門を遥かに凌ぐ成績を出したAWSには、売りとなるストロングポイントがあります。

パッとしてパッと使えるんです。

一般的に、AWSが提供しているサービスを自社独自で行おうとすると、サーバーを用意しなければなりません。

サーバーというのは、端的にいうと、インターネット上で要求されたことに対して、何らかのサービスで応える役割を持つのシステムのことです。

そのサーバーを実際に選定して設置場所・電源を確保したり、使える状態にしたりするだけで、半年くらいの時間と相当な労力、そして、費用が必要となります。

それら面倒な導入作業がAWSであれば、劇的に短縮できます。

申し込みから数千台あるサーバーを利用できる状態になるまでの時間が、5分程度に。

浮いた時間で、他の仕事に取り組むこともできます。

魅力あるポイントです。

実際、その時間を有効に活用できるとして、2015年4月設立の金融ベンチャー企業のウェルスナビが導入しています。

「AWSなしには起業は考えられなかった」とウェルスナビの柴山和久CEOは吐露します。

早く結果を出さなければならないベンチャー企業にとって、時間は貴重だからです。

このようにすぐに使えるようになるというのは、魅力的なポイントです。

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えっ?!それだけでいいの?!

次の特徴として挙げられるのが、利用料金です。

一般的に考えると利用料金は、なかなか下がることは考えられません。
しかし、その点AWSは違い、サービス開始からの10年間で58も値下げを行っています。
そこには、アマゾンで培ったビジネスモデルがありました。

それは、薄利多売です。

大量にサーバーを調達して設置することにより、個々のコストを減らすことで、利用料金に還元しています。

そして、利用料金を減らすことは、さらにAWSのシェアを広げることに役立っています。

また、自社でサーバーを用意した場合には、使い続けることにより劣化していき、年を経ることで保守コストが年々増大していきます。

この点、AWSであれば、常に最新のクラウドサービスを利用できて、今のところ料金も少しずつ下がっている…。

このことも、AWSのシェアが広がることに一役買っています。

実際、AWSのシェアは、2015年に31%で、マイクロソフトやグーグル、IBMを足してもAWSには届かない数値です。

また、その利用者はゼネラル・エレクトリック(米)やマクドナルド(米)、アメリカ中央情報局(CIA)やアメリカ航空宇宙局(NASA)などです。

日本では、ローソンや中央大学、NTTドコモ、キリンなども利用しています。

使いたいときにすぐに使えるようになるのと、利用料金が安いことはシェアを広げることに一役買っているといえます。

しかし、AWSには他に選ばれる理由があるんです。

AWSが選ばれる理由…

AWSが高いシェア率を誇り、高い業績を上げるのには、AWSが選ばれる理由があるからです。

①えっ、そんな機能もあったんだ…

一つのサーバーを複数あるように使う仮想サーバーやストレージなど、AWSには会社がネットワークを通じて作業をしようとした場合に必要となる機能がすでに揃っています。

それら機能はさらに増え続けて、2015年には720を超えています。

その理由を「顧客の要望に応えるために開発した(です)」とAWS日本法人の長崎社長は話します。

現在も機能が、増加し続けています。

例えば2012年に追加された機能に、「Redshift(レッドシフト)」というものがあります。

この機能によりスマートフォンのアプリ開発が広がった要因ともいわれているものです。

レッドシフトは膨大なデータを効率的に保存して、高速で出し入れして、分析できるという機能です。

この機能が登場するまでは、ビッグデータ分析には莫大な初期費用が必要だったため、大企業の独壇場でした。

そこに従量課金のレッドシフトが登場したことにより、状況が一変して、ベンチャー企業でも手軽にデータ分析を行えるようになったのです。

このようにAWSが選ばれる理由の一つが、えっ、そんな機能もあったんだというほどたくさんある機能の豊富さです。

②お守りしますっ!!

次にセキュリティ面も選ばれる理由に挙げられます。

AWSの機能の一つ「VPC」を利用すると、特定の領域を専有して利用することができて、社内ネットワークと同程度の安全性でAWSが使えます。

また、クレジットカードブランド業界のセキュリティ基準であるPCI DSSなどの認証も取得していて、データの安全性も確保しています。

ソニー銀行の福嶋執行役員は、「当行の独自チェックと第三者監査を通じ(てみると)、AWSは(国内金融機関に必要とされる)基準をクリアしている」と話します。

また、2016年からはセキュリティ機能の「AWS Shield(シールド)」を開始しました。

AWSで実行しているウェブアプリケーションを保護してくれます。

標的に対して複数のマシンから大量の処理負荷を与えられることにより、サービスを機能停止状態へ追い込むDDOS攻撃から守ってくれます。

しかも、AWS利用者は無料です。

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③みんないるよ

AWSには、「JAWS(ジョーズ)」という技術者が集まるコミュニティがあります。

AWS自体が多機能なので、AWS利用者が使い方や気になったところなどを議論する場です。

このジョーズ支部は、日本全国60以上あります。

ジョーズは企業ごとでも、売り手が組織するユーザーのコミュニティでもなく、利用者で組織されたコミュニティです。

しかも、その運営は各コミュニティの自主性に任されていて、勉強会やイベントなども定期的に開催されています。

色々な事例がコミュニティ内で共有されていて、何かあった時でも同じ経験をした人の事例を参考にすることもできます。

「他社の失敗事例を学べるのが面白い」とNTTドコモR&Dイノベーション本部サービスイノベーション部の大野部長は話します。

多機能さ、セキュリティ機能、そして、技術者のコミュニティの存在からAWSが選ばれ、その業績をグングンと伸ばしていったのです。

④さらに選ばれやすくなるかも?!

すぐに使えるようになるというAWSの特徴ですが、現代の会社で扱うデータ量は相当多いため、なかなかAWSに移行できないという面もあります。

そのための手をAWSは、すでに打っています。

それが、「AWS Snowmobile」です。

これは、トラックの荷台にサーバーを積み、そのサーバーを実際の会社のデータセンターに直接繋ぎ、データを取り込みAWSに運ぶというものです。

一台あたり運ぶことができるデータ量は、100PB(ペタバイト)。

100PBは、10万TB(テラバイト)です。

ジャシーCEOいわく「専用線で26年かかるデータを、半年で転送できる」ようになるそう。

また、AWSを後押しするように、NECは移行支援体制を強化するとしています

これらにより、AWSがさらに選ばれやすくなっています。

課題

順風満帆にみえるAWSにも課題はあります。

①ストロングポイントでもあるけど、ウィークポイントでもある

多機能すぎることです。

多機能は、ちょうどいい程度なら、ストロングポイントですが、行き過ぎてしまうと機能が複雑化してしまい、逆に使いにくくなってしまいます。

この点をどうするかも問題になります。

②心臓を持つリスク

現代の会社組織にとってデータは、心臓ともいうことができる存在です。

その心臓部をAWSが持っているにも関わらず、AWSに何らかの障害が発生した時、利用者は何もできなくなってしまいます。

この点をどうするのかという問題もあります。

ポジション争いはまだまだ…

現状、AWSが有利なポジションにいます。

しかし、底力のあるIBMやマイクロソフト、グーグルなどがこれから追い上げてくることが予想できます。

まだまだ安心することはできません。

挑戦者だった時とは違う戦い方が必要になってきているのかもしれません。

この記事を読んで

正直、いつも利用しているアマゾンにAWSという違う顔があったなんてしりませんでした。

世界中で展開されているアマゾンのサイト…
よくよく考えて見てみると、毎日相当量の注文が入るので、そこで使われている技術やノウハウは非常に高度なものだと想像できます。

その技術を他の人が使えるようにすることで利益が出る。

そのことは理解できますが、実際に行動できるかと考えると難しいと思います。

一般的に、技術やノウハウといったものは他が使えない状況であれば自分の利益に繋がると考えられるからです。

それを考えても、公開する方が利益に繋がるという帰結に至ることができた手腕に感服です。

ですので、AWSがさらに成功して、後に続く人の道標になってほしいです。

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